介護保険のしくみ
介護保険は、 介護が必要な方(要支援者・要介護者)に介護費用の一部を給付する制度です。全国の市町村が保険者となり、その地域の40 歳以上の住民が被保険者(加入者)として納めている介護保険料と税金から保険が支払われています。
介護保険とは
「介護保険制度」が整備された背景として、社会保障費の増大と家族をめぐる状況の変化があります。
1960 年代に老人福祉制度が誕生、70 年代には老人医療費が無料化されました。
その後、高齢化率は上昇し続け、医療費の高騰が深刻化。寝たきりの高齢者や、生活や介護の支援を必要とする高齢者の長期入院などが増え、大きな問題となりました。
さらに、核家族化の進行や介護する家族の高齢化また介護期間の長期化などにより、昔ながらの介護のあり方が変化、介護サービスのニーズが増大し、「介護保険制度」が誕生しました。介護保険制度がスタートすることで、それまで社会福祉法人や医療法人だけが行っていた介護事業に民間企業も参入できるようになり、ビジネスとしての競争によるサービスの質も向上し、よりよい介護サービスを利用者本位で自由に選ぶことができるようになりました。
また3 年に1 度、介護保険法の見直しが行われるので、社会情勢に合った有益なサービスを受けられるようになっています。「介護保険制度」は、少子高齢化や核家族化が進む日本において重要な社会保障のひとつになっています。
介護保険サービスの対象者
介護保険制度は各地の市区町村が保険者(運営主体)となって運営されています。
一方、被保険者(介護保険サービスを利用できる方)は、65 歳以上の「第1 号被保険者」と40 ~ 64 歳の「第2 号被保険者」となっています。
第1 号被保険者保険者である市区町村に要介護認定の申請をし、要支援・要介護の認定を受ければ、必要に応じたサービスを受けることができます。
第2 号被保険者(医療保険」に加入していることが資格要件)老化が原因とされる16 の特定疾病が原因で介護が必要になったと認定を受けた場合は、介護保険サービスを利用することができます
介護保険サービス利用の流れ
介護保険サービスを利用するにあたっては、要介護認定を受ける必要があります。また、要介護認定を受けるためには、介護保険被保険者証が必要となってきます。
介護保険被保険者証の交付
介護保険被保険者証は、介護保険を運営する保険者である市区町村などの自治体が発行しています。
介護保険被保険者証については、手続きを行わなくても65 歳を迎える誕生月にお住いの市区町村から郵送で交付されます。
40 歳~ 64 歳の人に対しては、特定疾病によって要介護認定を受けた場合にのみ交付されます。
要介護認定
介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受けることが必要となります。
要介護認定とは、介護を必要とする度合いを判定するためのもので、要支援1 ~ 2、要介護1 ~ 5 の7 段階が設けられており、非該当(自立)と認定された場合には、介護保険サービスを利用することはできません。
要介護認定の申請はお住いの市区町村の窓口で行います。
要支援1 ~ 2 に認定された場合は地域包括支援センター、要介護1 ~ 5 に認定された場合は居宅介護支援事業所でケアプランの作成を依頼した後、ケアプランに沿って介護サービスを利用できるようになります。
介護保険サービスの種類
ケママネージャが作成したケアプランに沿って利用可能な介護保険適用のサービスには「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」という3つのサービスに分類することができます
居宅サービス
現在の家に住みながら受けられるサービス
訪問サービス
訪問介護 | 利用者の自宅に訪問して買い物や掃除、食事や排せつの介助など身体介護・生活援助を行うサービス |
訪問入浴介護 | 利用者の自宅に訪問し、専用の移動式浴槽を用いて入浴などを行うサービス。入浴前後のバイタル(体温・血圧・脈拍)チェッや衣服の着脱の介護も行います。 |
訪問看護 | 利用者の自宅に訪問して、点滴・駐車など医師の指示に基づく医療処置や健康状態の観察、服薬管理などを行うサービス。 |
訪問リハビリテーション | 利用者の自宅に訪問して起き上がりや歩行などの基本動作、体操などリハビリテーショ ンの指導・支援などを行い心身機能の維持・回復、日常生活の自立を支援するサービス |
通所サービス
通所介護 (デイサービス) | 利用者をデイサービスセンターまで送迎し食事や入浴、レクリエーションや機能訓練など日帰りの介護を提供するサービス。 |
通所リハビリテーション (デイケア) | 利用者を介護老人保健施設や病院まで送迎して、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師など特定の資格を持ったスタッフがリハビリテーションを提供するサービス。 |
短期入所サービス
短期入所生活介護 (ショートステイ) | 日常生活における介護全般を支援する目的で、施設に利用者が短期間宿泊し、食事や入浴、レクリエーションや機能訓練などの介護を提供するサービス。 |
短期入所療養介護 (医療ショートステイ) | 喀痰吸引や、集中的なリハビリテーションが必要など、医療的な管理が必要な利用者を対象に施設に利用者が短期間宿泊し、食事や入浴、レクリエーションや機能訓練などの介護を提供するサービス。 |
その他のサービス
特定施設入居者生活介護 | 有料老人ホームやグループホームなどにおいて、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供するサービス |
福祉用具貸与 | 利用者に、車椅子や手すり介護用ベッドなどの福祉用具をレンタルするサービス |
特定福祉用具販売 | 利用者に、腰掛便座、簡易浴槽、入浴補助用具などの福祉用具を販売するサービス |
住宅改修費支給 | 利用者の自宅に、手すりの取り付け、段差解消など、在宅で自立した生活を続けるために必要な住宅の改修を行うサービス |
居宅療養管理指導 | 通院が困難な利用者の自宅に、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などの医療専門職訪問して、療養上の管理・指導・助言などを行うサービス |
居宅介護支援 | ケアマネージャーが利用者と介護サービス事業者との調整を行い、利用者や家族の希望に沿ったケアプランを作成するサービス |
※福祉用具貸与・販売、住宅改修費支給 → アーサ提供サービス
施設サービス
施設に入所した人に提供されるサービス
介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム) | 常に介護を必要とし、自宅での生活が困難な方を受け入れ、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供する介護サービスを提供する施設 |
介護老人保健施設 (老健) | 主に在宅復帰を目指す人を対象にした施設。利用者を一定期間受け入れ医師による管理のもと、医療処置や食事や排せつの介護・回復期リハビリテーションなどを提供する。 |
介護療養型医療施設 | 長期療養を必要とする要介護者に対し、医学的管理下におけるリハビリと食事や排せつの介護を提供するための施設。 ※2017年度末に廃止が決定され、2023年までに介護医療院と呼ばれる新たな施設形態へと転換することが予定されています。 |
介護医療院 | 長期にわたり、療養が必要な方を受け入れ、長期療養に必要な医療的ケアと日常生活を送る上で必要な介護を一体的に行うことで生活の場を提供する施設。看取りやターミナルケアなども提供。 |
地域密着型サービス
同じ市町村に住む高齢者に提供されるサービス
訪問・通所型サービス
小規模多機能型居宅介護 | 訪問・通所・短期入所などサービスを組み合わせて受けることができます。同じ事業所で複数のサービスを受けることができるので顔なじみの職員からサービスを受けることが可能となります。 |
看護小規模多機能型居宅介護 (複合型サービス) | 上記の小規模多機能型居宅介護に訪問看護を加えた複合サービス |
夜間対応型訪問介護 | 夜間に定期的にトイレ介助やおむつ交換などの介護を行う「定期巡回サービス」と急な体調の悪化や転倒時など緊急時に利用者の求めに応じて介護に対応する「随時訪問サービス」がある。 |
定期巡回・随時対応型 訪問介護看護 | 介護職員と看護師が連携をとり、日中・夜間を通じて複数回の定期訪問と緊急時の随時訪問を提供するサービスです。 |
認知症対応型サービス
認知症対応型通所介護 | 施設に通ってきた認知症の方に食事や排泄などの介護、レクリエーションや機能訓練などを提供するサービス。 |
認知症対応型 共同生活介護 | グループホームにおいて、共同生活を送りながら見守りや生活援助、レクリエーションや機能訓練などが受けられるサービス。 |
施設・特定施設型サービス
地域密着型特定施設 入居者生活介護 | 利用人数29人以下の、介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などにおいて、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供するサービス |
地域密着型介護老人 福祉施設入居者生活介 | 利用人数29人以下の特別養護老人ホームにおいて、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供するサービス |
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