むくみや・血行の改善や睡眠の質を高めるなど健康効果が期待できる入浴ですが、夏の入浴は脱水症状に陥ったり、浴室で熱中症を起こしたりしないよう気をつける必要があります。特に、古いタイプの浴室や浴槽は段差が多く転倒の危険性もあるので、リフォームや福祉用具を活用するなどして、安心安全の住環境整備が求められます。

気を付けたいポイント

1 出入口の段差

 水が溢れた際に脱衣所に水が侵入しないように、古い住宅では出入口に段差が設けられています。歳を取って筋力が衰えてくると、こうした段差につまづくリスクが高まります。また、床が濡れている状態だとリスクはさらに高くなります。

2 滑りやすい床面

 古いタイル張りの床は特に、滑りやすくなっています。また、床に残っている石鹸やシャンプー・リンスなどで足を滑らせてしまう可能性も考えられます。

3 洗い場から浴槽、浴槽から洗い場へのまたぎ高

 「しゃがむ・またぐ」という動作は足腰が弱くなってくるとバランスを崩して転倒する危険性が高くなります。浴槽が高い、もしくは、深い場合、浴槽への出入りの際に、バランスを崩しやすくなり転倒などの事故につながりかねません。

4 ヒートショック

 急激な温度変化による血圧の変動から心筋梗塞、脳梗塞などの健康被害を起こしてしまう可能性があるので、浴室の断熱性能を高める工事をするなどの対応が大切です。

浴室リフォームは工事費用が高額になることもありますが、介護保険や助成金を活用すると工事費用を抑えることができます。

介護保険制度を活用できる工事

・手すりの設置
・すべりにくい床材に変更
・床のかさ上げ等
・浅型浴槽への変更
・扉の変更

・・・etc.
手すりの取り付けや、段差解消、床材・扉の変更などが対象です。

リフォーム内容

バランス型風呂釜→パックイン式ふろ給湯器

 昭和の高度経済成長期頃に建てられた公営住宅でよく見られる、バランス型風呂釜はまたぎ高さが約60㎝と高く、浴槽の出入りには注意が必要です。また、給気口と排気口を通して外と繋がっているため、外気の影響を受けやすく、特に冬場はヒートショック等の危険性も高くなります。バランス釜は空焚きによる事故の危険性もあり、空焚きをしてしまうと熱が直接風呂釜に伝わってしまい、変形して水漏れや火災の原因となります。また、浴槽と床や壁に隙間があるのでカビが発生しやすく、喘息や肺炎などのリスクも高くなっています。

 パックイン式ふろ給湯器へのリフォームの工期はたったの1日だけ!既存の浴槽と給湯器を撤去し、浴槽横の壁面に給湯器本体を埋め込むことで浴槽内のスペースを有効活
用することができます。また、浅型浴槽に変更することで、浴槽の幅が広がるだけでなく、またぎ高さを下げることにより、より安全な入浴が可能になります。

オプション

ヒートショック対策には暖房付きパックイン

冬のお風呂で心配なのが、急激な温度差からくるヒートショック。浴そう前方の吹き出し口から温風を吹き出し事前に浴室を暖めることができるので、急激な温度変化による血圧の変動を防ぎ安心して入浴を楽しむことができます。

在来工法→ユニットバス

 昔ながらのタイル貼りの在来工法での浴室は、浴槽が深く大きく足を持ちあげて出入りする必要がある為、高齢者の転倒事故の原因になりがちです。また、「寒い」「タイルの目地が汚れやすい」といったこともあり、お手入れがしやすく断熱性能も高いユニットバスへのリフォームがお勧めです。

 近年発売されているユニットバスは、またぎの高さが低い、浅型浴槽のラインナップも充実しています。床面も滑りにくい素材が使われているので、入浴を安心して楽しむことができます。

ユニットバスを組み上げる際に干渉する箇所を解体し、新しく設置するユニットバスに合わせて各種配管の工事を行います。
その後、床面をモルタルで水平に均しユニットバスを組み立てていきます。工事期間は1週間程度になってきます。

注意

在来工法の浴室は防水性が低いため、浴室まわりの土台や柱の根元付近がシロアリ被害にあっているケースも決してめずらしくありません。シロアリ被害が進むと水漏れや浴室まわりの破損に繋がる恐れがあるので、早急に駆除する必要があります。

ユニットバス(マンション)

一昔前のマンションの場合、床下の配管を確保するために浴室の床が高くなっています。また、浴室の排水口が詰まり水が溢れた際に水が脱衣所に侵入しないようにと敷居も高くなっています。

床下の配管の関係上、浴室と脱衣所をフラットにすることは難しいですが、最新のユニットバスにリフォームすることで段差の高さを抑えることは可能です。
(※脱衣所の床を嵩上げすれば、フラットにすることは可能)

Before:浴室側(5.5㎝)、脱衣所側(5.9㎝)
→After:浴室側(4.2㎝)、脱衣所側(5.0㎝)

パネル工法

今ある浴室のタイル壁や天井に浴室専用のパネルを貼り付けていきます。解体を伴わないので工期が短く、費用を抑えることが可能です。
防水性がアップしカビ自体の発生が防げるので日々のお手入れが楽になります。
また、断熱性の優れたパネルを使用する事で気密威勢が高くなり寒さが軽減できます。

※壁を解体せずに施工する為、土台の痛みや水漏れの有無などは確認できません。

メリット

・工事がすぐに終わる
・費用を抑えることができる
・浴室の手入れが簡単になる
・防水性、断熱性が高まる

デメリット

・浴室の土台の状況が分からないまま、リフォームすることになる。
・ユニットバスに比べると、防水性や断熱性が劣る

防滑シート

滑りやすい床面だけを手軽にリフォームしたい場合にお勧めなのが防滑シート。
衝撃を吸収するので磁器タイルよりも柔らかく、石鹸水などで濡れていても滑りにくく転倒しにくくなります。また、断熱性にも優れるので、タイル張りのお風呂につきものの冬場の足元の冷えも解消してくれます。

工事は3時間程度で完了。専用の接着剤が乾いたらお風呂に入ることができるので、工事日その日からお風呂に入ることが可能です。

嵩上げ(タイル+グレーチング)

タイルの特徴は耐久性の高さです。水を頻繁に使うお風呂は劣化が進みやすいですが、タイルは水垢やカビが発生しても取り除きやすい特徴も持っています。
浴室洗場面を嵩上げし滑りにくい浴室用のタイルを施工することで、浴室出入り口段差を解消しまた転倒防止をすることが可能です。浴室の出入り口にはグレーチングを設置し、浴室内の水が外に流れないようにします。

浴室暖房

急激な温度変化にさらされ血圧が急変することにより。脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすおそれがあります。特に冬は住宅内の温度差が大きくなるため、注意が必要です。

日本の入浴中の急死者数は諸外国に比べ高いとされ、その理由は浴室と脱衣所の温度差であるとされています。浴室での死亡事故の半数近くが冬場に起こっており、ヒートショックの要因が考えられます。

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